GTSOC ツーリング#2

前の日


朝食〜出発

心配された雨も上がって、さわやかな朝。

朝飯は適当に囓りましょうってんで、パンだの、ソーセージだの、卵なんぞが買ってあった。最年長、神戸で米屋を営む世良田さんが手際よくハムエッグをこしらえてくれた。ごちです。

出発準備。雲行きははっきりしないけど、青空も見えているし、今日はカッパ無しで行けそう。念願の乗鞍到達なるか?!

# GTSOCは過去何度も乗鞍スカイラインを目指すが、一度も到達できていないらしい。

夕べ飲みきれなかった酒類が大量に残っている。パニア付きなら容赦なく積めるぞと、神戸ビール2本、ヱビスを2本、缶チューハイ2本、ワインを1瓶ゲット。これで当分家でも飲めるぜ。
わしは家ではほとんど飲まないので、こんな感じで手に入る酒で結構賄えてしまうのだ。
駐車場に出ると、みんなチャキチャキと泥だらけのボデーを拭いている。白バイの渡辺さんは、夕べの残りの「SAVING 北アルプスのおいしい水」でボデーを洗ってやがる。:-)
中身は水道らしいが。

バイクが綺麗になったところで、お約束で Photoバイクを並べる 。色毎だそうだ。そんで、記念写真。寄せ集めのツーリングの記念写真とちがって、オーナーズクラブの写真てのは、うざいね。わしだったら、通りがかりにどっかよそのクラブの写真撮るのでシャッター押してくれとか頼まれたら、うざいと思う。

でも、幸か不幸か、かんぽの宿にはその他の客はほとんどなく、人に頼まずに Photo済んだ のでやれやれ。ってところだ。
なんか忘れたと思ったら、三脚を持ってくるのを忘れてたんだな。

ぼちぼち出発しますか。遅くなっちゃったので、高速使いまーす。


権兵衛峠

駒ヶ根〜伊那を高速でショートカットしてR361権兵衛峠へ。町から、いきなり Photo林の中の道 になる。道は狭いけど舗装さえしてあれば何も問題はない。こういう道って、旅っぽくて好き。

ケツ持ち宣言していた田口さんだが、なんだか無線の調子が悪い。ハウリングのような雑音ばかりで、ほとんど交信できなくなり、わしがケツを交代することになった。
今日はドライだったら大将のケツを突っつこうかなと思っていたけど、敢えなく断念。
てゆーか、大将には絶対追いつけない自信がある。

また練習モードでのんびりライディングの確認しながら登っていく。GTSはフロントヘビーで、タンデム前提の重量バランスに設計されているので、今日みたいに後ろにバラスト(パニア)載せてると結構軽く向き変えができる。後ろが人間だとこんな風に乱暴には振り回せないから、大荷物ぐらいが丁度良いんだなと思った。

峠の手前の見晴らしで Photo一休み。 青空も見え、桜も咲いていて絶好だ。あーずっとここでのんびりしてー。
軽く一服で出発。


権兵衛峠〜境峠〜蕎麦屋

峠を越え、下り始めるとまた天気が怪しくなってきた。R19の手前で遂にまともに降りだし、慌ててみんなでカッパを着る。ホンの少し我慢してしまうだけでも、グローブや靴が濡れてしまうとその後もずっと不快が続いてしまうので、対策は早めの方がいい。
でもそんなことしてると、ここまでの区間で追い抜いた四輪車にまたことごとく抜き返される。
同じ車を何度も抜くのが嫌なので、わしは止まるのが嫌いだ。でも雨じゃしょうがないね。
R19も目の前だから、もう2度と抜くことはないんだけど。

しかも、カッパを着終わって出発しようとした頃には、また止みそうになっていた。

R19を少々南下し、今度は木曽川沿いの県道26号で境峠越え。あまりハードな道ではなくなんとなくダラダラ登る感じ。最後尾で暇だったので Photo走行中写真なんか撮ってみた。本当はこの手前にえらく日本的な風景の道があったのでそこで撮りたかったんだけど、あっという間に通り過ぎて、ただの川沿いの道になっちゃった。

突然大将が道端に停まった。こんな変なところでカッパ脱ぐのかなと思ったら、その手前の廃屋かと思っていたのは、ちゃんと営業している Photo蕎麦屋だった。そこで Photo昼飯を喰う。何の変哲も無い蕎麦。喰ったのは天ぷら蕎麦だったが、天麩羅が良い感じにサクサクしててなかなか美味かった。蕎麦自体の味は最近は東京の方が美味い気がするぞ。がんばれ信州蕎麦。


安房トンネル

R158へ抜け、そのまま安房峠へ。R158は車も多く流れが悪い。大型観光バスが多いのね。
しかも、標高が上がるに連れ、どんどん天気が悪くなり、安房トンネル手前で遂に雨、トンネルを抜けてもまともに降っていた。右前方にあるはずの乗鞍は雲の中。

料金所手前で泊まり、みんなで愕然とし、ここで解散することになった。関東組は金を払わずに引き返して、松本へ抜けるという。トンネルの向こう側は降ってないのがわかっているので、カッパは着ない。

関西組は高山方面へ降り、東海北陸道経由で帰ろうということになった。
わしは、この後各務原のこーけつに会いに行くことにしていたので、関西組と同行することにし、雨装備に身を刳るんだ。


高山〜飛騨せせらぎ街道

なぜか、わしが関西組の先導を仰せつかる。
高山方面へ下り始めると間もなく雨は上がり、晴れ間まで見えてきた。標高も下がり猛烈に暑い。高山へ降りて給油、カッパを脱ぎ一休み。

R158でR41を越え約6km。その道はあった。県道73号、別名「飛騨せせらぎ街道」。世良田さんによれば、元は広域農道だった道らしい。現在は北の方は県道、南下するとR257という国道になる。賢明な読者諸君は「広域農道」と聞いて血が騒ぐはずだ。一応県道〜国道に格上げになっているのでそれなりの交通量はある、しかし、信号はなくアップダウンも余りないことには変わりない。そして何と行っても、距離が長い。

せせらぎ街道に入ると、すぐに前車に詰った。中央線は白いし、対向車はまばら。どうしようかと後ろを伺っていたら、46Lの巨大パニアをつけた世良田さんが行った。
おお、行かれますか! とわしも小僧モードにシフト。世良田さんがわしが来たのを見て道を譲るので、わしはそのまま白線は無いものとして走った。

関東の広域農道に比べると、コーナー構成が高速だ。ほとんどはまともに減速せずにそのままつっこんでいける。GTSで走るには一番楽な道だ。直線区間も多く、車を抜くのも楽なのだ。車を抜きながらなので後ろの3台はその度に離れてゆくが、それでも世良田さんは視界から消えない程度にくっついてくる。

「やるな・・オヤジ」

走行しているうちに、国道区間に入り、センターラインは黄色になった。4台は流しモードにシフトし、道の駅パスカル清見にピットイン。


坂本峠〜東海北陸自動車道

道の駅を出ると間もなく坂本峠になる。ここからはR472になっていて、坂本トンネルは有料だ。

(わし)「この先有料みたいすけど、どうします」
(世良田氏)「旧道があるでしょ?」

20マップルには「ゲートが開いていれば・・4駆が多い」とか書いてある。かなり凄そうでっせ。いいんですね。(にやり)

小さなゲートが開いていて、その先に車一台分の幅の舗装路が続いている。ほうほう、ほぼ舗装済み林道のノリすな。カードレール無しで即ガケ。超タイトコーナーの繰り返しで延々5kmは続く。しかし路面は割と良く、スリップの心配はせずに済んだ。
ほとんどリヤブレーキ併用の小回りの練習状態。ブレーキングの前荷重からブレーキを引きずったまま滑らかにリアにトラクションをかけていく遷移が難しい。まだまだ修行が必要だな。

本線に戻ると、ここから先の区間は今までよりもさらに車が多い。完全に流しモードで、東海北陸道郡上八幡ICへと抜けた。


各務原へ

東海北陸道は対面通行で追い抜きがほぼ不可能。トンネルが異様に多い。途中、何ヶ所かある追い越し車線で一気に抜き発散しつつ南下。関SAで休憩、わしはそこで関西組とお別れし各務原ICで降りた。


こーけつ

元気だった。

東名バトル

そんなwaruなこと、するわけないじゃないっすか〜。

(以下フィクションかも)

東海北陸道各務原ICまでこーけつに先導してもらい、名古屋方面を目指す。ガソリンが半分くらいしかないが、満タンで入っても川崎までは持たないのが2年前実証済みなのでそのまま高速に乗った。
夜9:00の東海北陸道はガラガラで真っ暗。だが、名神に入った途端に車の束に飲まれた。

無理のないペースで左右から追い抜きをかけ、できるだけぬおわキープのペースで東へひた走る。キロポストに目をやると「330」とか書いてやがる。さすがにチトげんなりしたが、走りきらないことにはどうしようもない。

そろそろ燃料警告灯も灯こうかという頃、浜名湖SAにピットイン。給油だけでバイクからも降りずすぐ本線へ。しばらくすると、追い越し車線で団子になっている車の列に引っかかった。走行車線が空いていたので左から抜きにかかると、最後にトラックに蓋をされてしまった。追い越しの車の列の方が若干早そうだったので車間は詰まっていたがペースを合わせ、隙間に入れて貰った、つもりだった。

しかし後ろの岐阜ナンバーの黒いセリカGT-FOUR(丸目4灯)の逆鱗に触れてしまったらしい。右に目一杯寄って執拗に詰めてくる。

「おいおい、そんなことされても、行くとこないってば・・」

結構しつこいので、流石にわしも切れてきた。やおらセリカの真ん前に入り、軽くスラロームした後、前車を抜いて逃げた。でもどうせ車が多いので追いついてこれるはずもない。もとのぬおわペースで流していた。

しばらく先で車もまばらになった長いトンネルの中で、ふと後ろに目をやると丸目4灯の黒い奴が猛然と追いついてきた。

「奴だ・・
懲りない奴だな、単車に勝負を挑むことが無意味だということを解らせてやる。」

前もクリアだったので今度は全開くれてやった。奴もさらに加速してきたが、どうやらぬゆわの壁をクリアできてないらしい。あっという間に奴は視界から消えた。当たり前だ。

あんなのと絡みながら走るのは精神衛生上良くないので、できるだけ視界に入れないで行こうと思ったが、わしには「ぬおわ縛り」という自主規制があるので、ペースは守って流していた。

他車のほとんどいない、ガラガラの区間で、奴は再びやってきた。
奴と喧嘩する気はさらさら無い。わしもぬおわペースを乱したくないので、追いつかれたところで軽く手を挙げて奴に挨拶し、道を譲った。
やつはコンスタントにぬゆわで走っているらしい。そのままじりじりと遠ざかって行く。

そこでふと気付いた。
「こいつ、単にただ急いでるだけなのか」

何となくそんな気がする。しかし、奴は左抜きはせず、前車に詰まると退かせる走り方をしている。あんまりそれ、やんない方が良いよ。営業車が多い時間帯だから、基本的に奴らのルールを乱すような走りはしない方が良い。

しかも、見ているとコーナーでは車線の真ん中をきちんとトレースすることができてない。こやつ、ヘタクソだ。
でもやがて、見えなくなった。

さらにしばらく走ると、遙か前方に奴の姿を発見した。車を退かせながらでは、やはりわしのぬおわペースの方がやや速いようだ。

比較的クリアだったので、

「そろそろ引導を渡してやるか。」

と、本格的なアタックをかけた。

「う、げ、スピードが乗らない!」

いつもならふふわは軽く行くところだが、ふわわで頭打ちになる。何故だ。
そして気付いた。

「パニアの空気抵抗か・・」

これはかなり馬鹿にならないらしい。そういえば大将も、

「ショートスクリーンなら最高速10km/h上がる」

と言っていた。
夕べの雑談で、みんなの最高速記録の話を聞いた限りでは、わしのふうわ(ロングスクリーン装着)が最速だった。わしのがショートスクリーンつければ、ノーマルGTS最速ってことか。
ところでパニアの取り説には確か、「140km/h以上出しちゃいかんよ(ドイツ語)」って書いてあったな。まあいい、飛べるもんなら飛んで行け。

何てことを考えながら黒い奴に迫ると、今度はやつがあっさり道を譲った。

なんか意志の疎通が図られたようで嬉しかった。
軽く手を挙げて挨拶し、そのままブッちぎった。つもりだが、ふわわで手を挙げたので持ってかれそうになってちと恐かった。でも

「ふわわでもこっちは余裕だぜー」

という振りをしてね。

その後、二度と奴には会わなかった。
海老名で燃料警告灯が灯いたので給油し、間もなく家に着いた。

4時間くらいでのんびり帰ろうと思っていたが、結局3時間チョイしかかからなかった。


ITOH Osamu/ Sachi/ Guest Book/ 036@itoh.gentei.org