つれづれ教習記

教習所での出来事、思ったことをつれづれなるままにしたためた記録です。
これから教習所に通おうと考えている方の参考になれば幸いです。


いきさつ

 1998年初秋の頃、研究室の学生Bくんが大型自動二輪車運転免許を携えてやってきた。 「取れちゃいました」と、はにかみ屋のBくん。 彼は果敢にも一発試験に挑戦して見事4回目にして夢を掴んだようだ。 もう少し嬉しそうな顔をすれば良いのに、 今朝の出来事にまだ驚いている様子の顔がそこにはあった。 それから何日もしないうちに彼は排気量1,100ccのバイクを手にしたのであった。

 Bくんが大型免許を取得するまで僕はバイクに見向きもしなかった。 今から10年前、 当時は中型限定と呼ばれていた普通自動二輪車運転免許を取得して以来 4年間はYAMAHAのFZR400Rに乗っていたが、 それを手放してからは興味が無くなっていたのだ。 YAMAHAの製品ラインナップからFZRが消えているのも知らなかった有り様である。 規制が緩和され教習所で大型が取れるようになった時も、 乗りたいなと一瞬頭をよぎったものの特に気にもとめなかった。 それがどうだろう、 ごく身近な人が大型免許を手にした途端その思いは俄然膨れて来てしまったのである。 さらに、バイク乗りの上司とBくんとがバイクの話で盛り上がるとウズウズし出してきた。 もう止まらない、誰か助けて…。


1998年12月20日(日) 入所申込み

 中央線東小金井駅近くの尾久自動車学校に入所申込みをしに行ってくる。 限定解除メーリングリストのメンバの方にご紹介頂いた教習所だ。 1998年12月20日現在、教習料金は87,000円(税込み91,350円)。 教習は1時限50分で、 普通自動二輪車運転免許を持っている者は実技のみで計12時限の教習を受ければ良い。 書類に氏名、住所等の必要事項記入の後、教習簿用の写真撮影。 この写真はサービスとのこと。 書類の必要事項記入欄には「過去に免許停止になったことがありますか」というような 簡単な質問もあった。

 書類を書き終えいよいよ教習開始、かと思いきや、 先方の話しによると何でも適正検査なる筆記試験を受けないと 教習が開始できないらしい。 しかもその適正検査は決められた日にしか実施されていないとのこと。 仕方がないので12月23日午前11時からの適正検査を予約する。


1998年12月23日(水) 適正検査

 何だか知能テストのような検査。 「OD式安全性テスト」というのが正式名称らしい。 マークシート形式で、クレペリン検査のようなものとか、 似たような図形を選択せよとか、 わけの分からない絵を見て何に見えるか3つの内から選べ、とか...。

 1月9日に結果(診断書)を受け取った。 自動車の運転という側面からみた本人の性格および注意点が指摘されている。 この診断結果、結構当たっているかもしれません。


1998年12月24日(木) 1段階:初乗り

 尾久自動車学校は四輪とは隔離された二輪専用コースを持っている。 1段階はこの二輪専用コースでバイクの基本的な操作法を学び、 2段階は四輪と一緒に本コースを走り路上走行のし方を学ぶことになっている。

 入所申込みから4日目にしてやっと教習開始だ。 心なしかわくわくする。 構内とはいえ、大型バイクを運転するのは初めてだもんね。 教習車はHONDA CB750。 初日の教習課題は、引き起こし、発進、停止、狭路、スラローム、波状路。 波状路以外は特に問題なし。 と言っても初日のレベルで、ということを断わっておこう。 波状路ではトラクションをかけるタイミングが掴めず、 何度かバランスを崩して足を着いてしまった。 後半、前輪が障害物に乗る手前でトラクションをかけるという コツを掴んでからはこなせるようになった。 そういえば目線が近いと注意されたっけ。 課題がたくさんで50分の教習って結構長いんだなと思った一日でした。 センタースタンド掛けが無かったけど…、まぁいいか。


1998年12月26日(土) 1段階:狭路、スラローム

 本日は2回分の教習。 1時限目はひたすら外周→狭路→スラロームの繰り返し。 狭路というのは文字通り道幅が狭いのだが、 ただ狭いだけではなくコース形状が「8」の字状になっており、 右に左にコーナリングしながら通過するものです。 コーナリング時の低速バランスを養う訓練でしょう。 今回は何も注意されなかったので基本的には問題ないと思う。 教習の最後は波状路の練習でした。


1998年12月26日(土) 1段階:平均台(一本橋)

 本日2時限目の教習。課題は平均台。 初めは橋から落下してしまったが、

ということを行なってからは落ちなくなりました。 気を良くしてタイムを稼いでいたら、 そんなにゆっくりでなくても良いと注意されてしまった、トホホ。

 そういえば、この日、プライベートで初めてコケた。 免許歴10年中、 最初の4年間は毎日のようにバイクに乗っていたがコケるのは初めてだ。 1時限目と2時限目が予約の関係で時間的に飛んでしまったので、 その間、仕事をしようと大学へ向かう途中、 路地を曲がろうと状態を倒したらいつの間にかコケていた。 どうやらマンホールが後輪を滑らせたらしい。 幸い、対向車および後続車は無く、 またスピードも出てなかったので大事には至らなかった。 バイクのダメージは右のクランクケースを擦った程度。 人間のダメージは右膝を擦りむいた程度。 この程度で良かった良かった。


1999年1月5日(火) 1段階:坂道発進、クランク

 朝一番の教習。1月ともなるとさすがに寒い。 年末年始を挟んで少しブランクがあったので、最初は若干戸惑う。 今回は坂道発進と狭い路地を模したクランクが課題。 坂道発進はなめてかかったせいで少し後ろに下がってしまった。うっ、油断禁物。

 クランクのほうは、

の3種類で通過しバイクの挙動の違いを確かめて見よとのこと。 ふむ、半クラッチ状態が一番操作しやすいな。 クラッチをつないだ状態ではうまくしないと外に膨らんでしまうし、 クラッチを切った状態では逆に内に倒れてしまう。 トラクションが無いわけだから当り前と言えば当り前だが、 これらを身を持って体験せよというのが教習の目的だろう。

 この時間注意されたことと言えば、狭路でインに肩が入りすぎること。 きっと力が入りすぎているのね。 道理でバイクのコントロールがし難いわけだ。納得、納得。


1999年1月5日(火) 1段階:ブレーキ操作、見極め

 仕事を後にして最終時限(19:00〜19:50)の教習。課題はブレーキ操作。

の3種類で急制動を行なってバイクの挙動の違いを確かめて見よとのこと。 うむむ、前輪のみのブレーキをかけようとすると後輪もつられてかけてしまうゾ。 前輪だけのブレーキなんて普段使わないだけにとっさに行なうのは難しい。 結果は当然ながら前後輪同時が一番制動距離が短い。 それを身を持って体験せよというのが教習の目的だろう。 後半は見極めだったが無事お眼鏡にかなったようだ。

 最後に乗車姿勢のアドバイスを受ける。 グリップを握る時、内側(親指側)に力を入れて操作した方が良いとのこと。 僕は外側(小指側)に力を入れて乗ってしまっていたため脇が開き、 そのためにリーチが短くなって前屈み姿勢になっていたらしい。 1月5日の朝に肩がインに入りすぎると指摘されたのも案外このせいだろう。


1999年1月7日(木) 2段階:法規走行

 最終時限の教習。日が落ちると寒い。 今日から2段階、二輪専用コースから四輪も走る本コースへと環境が変わる。 今回の課題は法規走行。 交差点の通過や右左折、合図、安全確認など路上での基本的な走行。 右左折時の合図は、

1. ウインカーを出す
2. ミラーで後方を確認する
3. 目視でバイク側面(ミラーの死角)を確認する
の いっち、にっ、さんっ で行きますからね、と指導員に言われていたのだが…、 うっ3の時にクセでどうしても後ろを見てしまうゾ。 そうかと思うと、あぁ〜合図が遅れてしまう…、 げげっ左折時に外に膨らんでしまう…。 中型限定(普通自動二輪)を取得してから10年近く、 街乗りのクセが付いたのか法規走行って難しい、トホホ。 教習所の帰りは法規走行の練習をしながら帰る。

 教習の後半は追越し・追越され、高速コーナリングの体験。 まずは、追越し・追越され。 コースの直線を使い、 指導員のバイクを追越したり逆に追越されたりしてみましょう、 ということでやってみた。 このコースの直線って案外短いんだなぁ、と感じました。 というように追越しには長い距離が必要で危険だよ、 ということを体験させるのが目的なんだろう。 次は高速コーナリング、40Km/hでコーナーを曲がってみる体験。 大型バイクはコーナリングマシンじゃないんだよ、 ということを体験させるのが目的でした。


1999年1月8日(金) 2段階:法規走行2時限目

 朝一番の教習。 今回は昨日の帰りに公道で法規走行の練習をしたのが功を奏したのか マトモに走れるようになった。 現段階で特に問題は無いようだ。


1999年1月9日(土) 2段階:法規走行3時限目、特別課題

 同じコースを走るのもこれで3時限目。 いい加減飽きてきた。 と、そこへ、直線でしっかり加速、カーブ手前でしっかり減速、 もっとメリハリを持って走るように、と指導を受ける。なるほど。 この時限の後半は、スラローム→急制動→波状路→平均台の 特別課題の反復練習。 スラロームが乗れてない気がするなぁ…。 ちなみに、スラロームは7秒以内、急制動は40Km/h以上の侵入速度で11m以内で停止、 波状路は5秒以上、平均台は10秒以上の制限がある。


1999年1月9日(土) 2段階:回避、模擬追突体験

 少し時間を空けた本日2回目の教習。 今回の課題は回避、模擬追突体験など各種体験。 急制動で制動開始を促すパイロンを使い、 その先中央で指導員が旗を振る。 旗が出た方が危険方向という条件の下、 30Km/hの速度で左右のうち旗とは逆方向にノーブレーキで避けるという体験。 一回目は旗を振らないから好きな方に避けてね、ということで簡単、簡単。 次は旗を振るからと言われ、さぁ来いと30Km/hでパイロン目掛けて突進。 まだ旗が出ないの?ちょっと早く出してよ。 おい遅いゾ。あ〜判断できないから避けられないゾ。 げっ今ごろ旗を出したって手遅れだ。あ〜ぁ(歩行者を)ひいちゃった。 なるほど、どうにも避けられないということを体験させようということネ、いぢわる。 運動神経のテストかと思って気張ってしまいました(自慢じゃありませんが、僕、運動オンチなんです)。 三回目は余裕を持って旗が出たので簡単に避けられました。

 模擬追突体験というのは、 40Km/hで前方を走る指導員のバイクを5m間隔くらい空けて追従し、 前車の急ブレーキに合わせてブレーキを掛けて追突を避けるというもの。 ただし、本当に追突したらシャレにならないので走行ラインをずらして行なう。 そらきた、ブレーキだ。 げっパニックブレーキかけて後輪がロックしたゾ。 でも、寸でで追突せずに済んだ。 と思ったら、5m以上の車間を空けてしまっていただけのこと。 とにかく車間を空けましょうねということでした。

 その他に任意の位置から急制動を開始して目的の位置に 見事停止させる教習も行なった。 もちろん、そんな簡単に目的の位置には止まれない。 目測が曖昧であることを認識させる体験でした。

 それから、普通自動二輪で使用する 400cc の教習車に乗り換えて急制動を試す。 軽い分制動距離が短い。まぁ予想通りなのでそれは良いんだけど、 イキナリ750cc(HONDA CB750)から400cc(HONDA CB400)に乗り換えた時に戸惑った。 あれ?400ccってこんなにトルクが無いの? 教習の帰りに自分の250ccに乗る時には、 時間が空いているので違和感を感じ無いが、 イキナリ乗り換えると違うもんだなぁ。 やはり大型バイクって別の乗物なのね。


1999年1月9日(土) 2段階:シミュレーション(危険予測、衝突回避)

 この時間はHONDA謹製(?)のシミュレータを使っての教習。 教習参加者は僕以外にもう1名の計2名の教習生。 シミュレータ教習は、去る1998年12月1日に法改正になってから大型自動二輪でも 行なわなければならなくなったとのこと。 それまでは普通自動二輪だけだったとか。 教習目的は実車ではなかなかできない危険予測や衝突回避、反応時間の計測など。 なるほど仮想現実ならでは、だ。

 まるでゲームセンターのバイクゲームのような筐体。 中央には車輪の付いてい無いバイクが無造作に立っており、 その前には大型スクリーン。 バイクにはちゃんとシフトペダルも付いていました。 このバイクを駆けて仮想世界の街を走るといろいろな所から走行を妨害してくる。 物影から人が飛出したり、対向車がセンターラインを割って来たり。 ふぅ、なんとか衝突せずに済みました。 しかし、このシミュレータ、良く作ったなぁ。 画像が綺麗なこともさることながら、 臨場感を増すために車速に応じた風を噴出するデバイスまで付いてるや。 ちなみに仮想世界に登場する車はホンダ車ばかりでした(笑)。

 ところで、僕はこのシミュレータで乗物酔いしてしまいました。 良く出来すぎているため、不自然な部分が際立ってしまうのでしょう。 旋回Gを感じることができないのが痛いですね。 体感のほとんどが視覚情報であり、 欠けたGを補うかのように平衡感覚がヘンに働いてしまうのでしょうか。 とにかくこのシミュレータに僕の体が順応できませんでした(よわよわ)。 遊園地のコーヒーカップに乗った後のようだ、うぅ〜気持ち悪い。

 後半は指導員から事故件数の推移などを聞かされたり、 NHKの番組を編集したビデオを見せられたりして、 それをテーマに討論などを行なう。


1999年1月10日(日) 2段階:検定コース No.1 走行

 教習の前半は特別課題(スラローム→急制動→波状路→平均台)の反復練習。 急制動で頑張り過ぎてフロントがロックしてしまったこともあったが、 その他には問題はなさそうだ。 いやいや、そういえば急制動での初期制動が強すぎるのでもっと 「ジワ〜」っとブレーキをかけること、と指導されたっけ。

 後半は検定コース No.1 の走行練習。 コース順はそんなに難しくないのでコース覚えは特に問題なし。 ただ、確認が遅いため余裕が無いのか、 停止時にローギアに落とし切れずニュートラルに何回か入ってしまった。 それでも、まぁ、なんとか走り切れたようだ。


1999年1月10日(日) 2段階:検定コース No.2 走行、2段階見極め

 前回から連続時限の教習。 今回は検定コース No.2 走行が課題。 そして、卒業検定を受けて良いかの見極めも兼ねている。 コース走行何回しただろう?4周かな?5周かな? とにかく、無事見極めのお眼鏡にかなったようだ。良かった、良かった。 最後に「確認は余裕をもって早めに」と指導を受けて教習を終る。

 ふぅ、長いようで短かった教習でした(と、早くも卒業検定に受かったつもり)。 あとは卒業検定を残すだけだ。 さて手帳を片手に検定の予約を…、 しまった、出張やら休日出勤があって検定を受けられるのは10日以上先だゾ。 そんなに期間が空いたら一発で受かる自信がない…、どうしよう…。 う〜む、そういえば「自由練習」とかいう制度があったな。 検定で落ちたら結局再教習を1時限受けなければならないので、 保険だと思って検定前にその自由練習(税抜き3,000円)を受けることにしよう。 ナニナニ、検定直前の自由練習(そのまま検定)も可?ラッキー。 休日出勤の振替というわけではないが、 20日(水)に休暇を取って検定を受けることにします。


1999年1月20日(水) 自由練習、卒業検定

 本日は休暇を取って自由教習と卒業検定。 昨晩の雨もあがり、1月とは思えない小春日和の良い天気。うむ、検定には最高だ。 仕事の関係で2段階見極めから10日以上空いてしまったので、 検定直前に自由練習を受ける。 さすがに、これなら合格するでしょう(逆に受からないと恥だ(苦笑))。

 自由練習はひたすら検定コースNo.1およびNo.2を走る。 練習とは言ってもちゃんと指導員が付くので安心だ。 検定コースNo.2の覚込みが不完全だったのか途中で解らなくなって クランクをすっ飛ばしてしまった。 卒業検定がコースNo.2だったらどうしよう(汗)。 交差点右左折時に中央から離れすぎだと指導を受けて練習を終る。

 練習が終り、そのまま卒業検定になだれ込み。 検定の説明のために、一旦、コース中に設けられた小屋の中に集められる。 今日のエントリは6名。僕はその中で1番目の走行となった。 懸念の検定コースはNo.1、これなら途中で解らなくなることはないでしょう。 説明が終り早速検定開始。 うっ、さっき練習で乗っていた教習車と感じが違うゾ。 なんだかスロットルのレスポンスが悪い気がする。 左折時に大回りになってしまったことと、途中でギアが解らなくなってしまったこと 以外は自分としては特に問題が無いように感じた。 検定後に一言コメントをもらう。 その評価は右折時にもう少し右側に寄りましょうということでした。 アレレ、自分の感じたことと違うもんだなぁ。

 結果は合格でした。うむ、良かった良かった。 時刻は午後12時40分頃。午前11時から自由練習を開始して1時間半後のことでした。 しかし、それからは待ちの連続。 卒業証明書発行まで待たされ、運転免許センターでも交付まで待たされたし。 免許証を手にしたのは午後4時頃でした。 いやぁ、取り敢えずこれにて一件落着。 さて、次はバイクをどうしようか。

 最後に教習を終って振り返ると、教習所に通って良かったと思ってます。 特に、自分の悪い部分を的確に指摘してもらえ指導してもらえたことが 運転技術向上の面で非常に良い効果を生んだと思います。 後は事故を起こさないように精神修養をしないといけませんね。 皆さんも事故にはくれぐれも注意して下さい。


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