ずら


「ずら」

甲州弁で一番有名なのが「ずら」でしょう。甲州弁を真似しようとす る非甲州圏人はかならず「ずらずら」を使って話そうとします。しかし悲 しいことに、ドカベン殿馬の影響からか、正しい「ずら」を使える非甲州 圏人は皆無で、話のきっかけとして使ったつもりが甲州弁使いの苦笑を誘 う結果に陥ってしまいがちです。

「ずら」は疑問・推量で使う助動詞で、標準語の「でしょう(?)」に相 当します。決して殿馬のように単純肯定文で使ったりはしません。また、 ずらの接続規則は難しく、間違えるとたちどころに偽物だとばれてしまう ので注意が必要です。標準語の接続規則が甘くなって来たので、標準語の 「でしょう」の置き換えで考えると「ずら」の接続を間違えます。「ずら」 は原則として体言または形容動詞の語幹に接続します。標準語の疑問文の 「-でしょう?」の部分を「-です」に置き換えて、それがNHKのアナウンサー も使う表現であればそれはそのまま「ずら」に置き換えて良い表現です。 例を挙げましょう。

*「明日は晴れでしょう?」→「明日は晴れです」 ○
*「明日は晴れるでしょう?」→「明日は晴れるです」 ×
(くだけて「晴れるです」という人も出て来たが普通は「晴れます」が正 しい)

上記の場合、「明日は晴れずら(?)」は正しい置き換えとなりますが、 「明日は晴れるずら?」は違います。しかし、これが文法的に間違いと言 うわけではなく、「晴れるずら」の言い方は 存在します。先述したように「ずら」は必ず体言接続するため、それに依 存して先行する「晴れる」が体言化します。標準語で言えば、「晴れる」 に「です」をつなぐために「晴れるのです」と「の」を挟むことが行われ ますが、甲州弁では「の」を省略してしまいます。省略しても、「の」を 挟んだニュアンスはかわらず、

「晴れるずら(?)」 == 「晴れるのでしょう(?)」

という念押しの疑問になります。文法的にまとめると、

という意味になります。とくに後者の念押しのニュアンスを知らずに「ず ら」をつなげてしまうと、きわめて不自然に聞こえますので注意しましょ う。では、体言と形容動詞以外の、念押しでない疑問・推量文、つまり 「でかけるでしょ」という通常疑問文はどう表現するのでしょうか。これ はまた次回。

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