低価格UPSによる電源管理

以下のテキストは、執筆時当時の情報を元に書いたものであり、 現在の情勢にそぐわないことを含む場合があるので注意されたい。 また、テキストは最終提出原稿で校正を経る前のものなので、実際にUNIXUSER 本誌に記載されたものとは異なる。誤字脱字等そのままである。

致命的な誤り以外は加筆修正等は行なわないので情報の鮮度に気をつけつつ 利用して欲しい。

目次


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Part 3 低価格UPSのススメ
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「人間が生きていく上で一番大事なものは」という問に対し「水」と答えられる
人でも、「コンピュータを動かす上で一番大事なものは」という問に「電気」と
とっさには思いつかないのではないだろうか。あまりに当たり前すぎて、空気の
ような存在と思われがちな「電気」だが、安定した電流が一瞬の途切れもなく供
給され続けないとコンピュータは動かない。Part 3 では高度に安定した電源供
給を行なうUPSを選ぶ上での基礎知識と、導入事例を示す。

■
■電源の重要性
■

最近では長時間の停電は滅多に経験しなくなったものの、雷のシーズンには瞬間
的に停電が起こることは今でも珍しくない。電灯の点滅が目で認識できる程度の
瞬停の場合はたいていコンピュータもリセットがかかり、リブート後にはfsckが
始まることになる。また、落雷でもっと恐いのはミリ秒単位の過剰電圧が発生す
るサージで、場合によってはコンセントにつながっている機器を破壊に導くこと
もある。


「年間を通してほとんど落雷のない地域だから大丈夫さ」と言えるかというとそ
うでもない。電力会社の送電線切り替えの際にも瞬停がある【文献 1】というの
で、年に数回程度はPCにリセットがかかる可能性を持っていることになる。

さらに問題は、電力会社から屋外配線までの原因にとどまらない。

今使っているPCに供給されている電源が何ボルトかわかるだろうか。「そりゃ
100Vに決まってるだろう」とか「いやいや若干の誤差があって…」とかの議論も
もっともだが、実際に終端のコンセントに来ている電圧はほとんどの場合定格電
圧よりも低くなっている。とくに長いテーブルタップの先でタコ足配線…などを
していると電圧降下は著しい。また「エアコンや掃除機などを入れると同時に一
瞬電灯が暗くなる」という経験はないだろうか。実際のところ100Vの家庭用電源
は設備や利用法様々な原因による不安定要素が多い。供給電圧が何ボルトまで落
ちてもPCが稼動し続けるかは、パーツの組み合わせによってまちまちであるが、
すくなくともある閾値よりも電圧が下がった場合には、どんなPCでも正常稼動し
なくなる。

このような電源トラブルに対して有効なのがUPSであるのはいうまでもない。ただ
し、UPSの仕組みを知らず安易に機種選択してしまうと、電圧降下に対して保護機
能が働かず、「UPS をつけているのに何故かリセットかかかるんだよなあ」と悩
むことになる。

過去に経験したことだが、UPSをつけているのに夏になると毎晩ほぼ決まった時間
にリセットがかかる症状が続き悩んだ。最初は熱かと思ったのだが、昼には問題
ないのでそれは違うと思い、東北電力の人にも来ていただいていろいろ調べた結
果、アパートの別室の人が帰宅してクーラーをつけた瞬間が問題ではないかとい
う結論に達した。そこまで電圧変動に敏感なPC をサーバーマシンに使っているの
も問題だと思ったので結局のところPCをリプレースして解決に至ったのだが、
UPSを選ぶ際には、停電だけでなく電圧変動にも対応できるものを選ばなければい
けないと強く意識させられた出来事だった。


■
■UPSの方式
■

UPSには、いくつか運転方式があるが、現在普及している主な方式には以下の四つ
がある。



* 常時商用給電方式

  商用電力が正常に供給されているときにはそれをそのまま下流機器に送る。電
  源供給が遮断された場合に自動的に回路を切り替え、蓄電池の直流電流をイン
  バータ【註 い】で交流に変換して下流機器に送る。切り替えを伴うので僅かな
  時間だが電源供給が途絶える。ただし、回路が単純なためUPS自体が低価格にな
  る。また平常時には無変換で電源を下流機器に流すので、パワーロスが少ない。

---[註 い]------------------------------------------------------------
インバータ: 直流を交流に変換する装置
コンバータ: 交流を直流に変換する装置
----------------------------------------------------------------------

* ラインインタラクティブ方式

  基本的に常時商用給電方式と同じだが、蓄電池とインバータが常に接続されて
  いるので電源障害時の切り替えが常時商用給電方式よりも短い。多くの製品に
  電圧調整器がついていて、入力電圧が変動したときにそれを補正する。常時商
  用給電より少しだけコストがかかるが、その分安定要素が増す。


* 常時インバータ方式

  常にインバータ経由の電力を下流機器に供給する方式。入力電圧に変動やサー
  ジがあっても全く下流に影響がない。回路が複雑化するので本体の価格は高め
  となる。また、常に交流→直流→交流変換を行なっているため効率が落ちる。

* パワーマルチプロセシング方式

  高効率常時インバータ方式とも呼ばれる。入力電圧に異常があったときに昇圧
  /降圧回路によって適正出力に保つ。停電時の蓄電池供給への切り替えに伴う
  瞬断がない。常時インバータ方式に代わる高安定UPSとしてこれからの普及が
  予想される。

電源に関るトラブルと各UPSの種別による有効性をまとめると以下のようになる
【註 と】。

--------------------------------------------------------------------------
電源異常	   症状			常時商用 ライン 常時    パワーマルチ
						 インタ	イン    プロセシング
						 ラク   バータ
						 ティブ
* 停電	

	電力会社、送電線、トランスなどの  ○	 ○	○	○
	故障によって起こる一般的な停電の  
	ほか、ブレーカーあがりなど屋内で
	の使用法に起因するものもある。
		

* 瞬時電圧低下

	落雷などの影響で送電設備に障害が  ×	 △	○	○
	出たときに、それを切り放すまでに
	かかる瞬間的な電圧低下。

* 電圧変動

	各機器の電力使用が許容量に近づく  ×	 △	○	○
  	などして起こる電圧の変化。使用電
  	力の大きな機器のオン・オフなどに
  	も起因する。

* サージ(スパイク)

	落雷などに起因する過大電圧。      ×	 △	○	○
	持続時間がミリ秒単位の
	ものをサージ、ナノ〜マイクロナノ
	秒単位のものをスパイクという。

* ノイズ

	交流電流は規則的な正弦波だが、こ  ×	 △	○	○
	れを乱すもの。
--------------------------------------------------------------------------

---[註 と]------------------------------------------------------------

電源異常に対するUPSの有効性に書かれた×は、「そのUPSに該当する電源異常に
よるトラブルを回避する働きがない」というだけで、必ずその電源異常で機器の
ダウンが起こるという意味ではない。UPSなしでの運用でトラブルが発生していな
ければ、常時商用給電のUPSを通した場合でも変わりない。逆にいえば、利用して
いる環境で電源異常によるリセットが起きる場合は、常時インバータかパワーマ
ルチプロセシング方式のUPSの導入によってほぼ確実に改善できるといえる。
----------------------------------------------------------------------

実際に導入を考えるとき、予算無制限であれば常時インバータ方式や、パワーマ
ルチプロセシング方式のものを迷わず選択するだろうが、残念ながら現在のとこ
ろ「個人で買える価格帯」からは少しはみ出てしまう。今回は5万円前後で買える…
という条件で、できるだけ安定したものを選ぶことを目標とした。ということで、
最近その価格帯に下りて来たラインインタラクティブ方式のものに絞ってみてい
こう。

■
■UPS導入時の注意
■

UPSを利用して得られる機能には以下の2つがある【図 ち】。

(A) 商用電源トラブルのときの予備電源
(B) 長時間停電が続くときの自動シャットダウン

また、機種によっては(B)が完了後に復電したときに、一度下流機器への給電を止
めてから給電再開するので、自動的にPCをリブートすることができる。これら全
ての機能が揃っていれば、仮に長時間停電発生時に現場にいなくても確実にリス
タートすることができる。

忘れがちだが、この恩恵を受けるためには、PC本体のBIOSに「電源ON/OFF状態を
記憶」しておく機能が必要となる。これら全てが揃って初めてUPSを完全に活用す
ることが可能となる。

もちろん全ての機能がなければ「UPSを導入する意味がない」とまではいかない。
UPSを「容量の大きなバッテリー」と捉えればどんな機種もそのままPCを接続する
だけで(A)の恩恵を受けることができる。近年の電気事情では瞬停がほとんどで分
単位の停電はきわめてまれであるから、たとえUPS監視管理ソフトがUnix非対応の
ものでも、それなりに役立つことは間違いない。実際筆者も、個人利用のPCには、
Unix非対応の廉価版(1万円未満)UPSを利用している。

ただし、先述したように電源トラブルには停電のみならず電圧降下もある上、万
一の長時間停電も考慮しなければならないので、安定運用の求められるマシンに
は(B)も対応したものを選びたい。

---[図 ち]------------------------------------------------------------
+--------------------------------------
|  コンセント
| +-----+
| | ::  |
| | :\  |          UPS
| +---\-+       +-------+
|      ~~~~~~~~~|       |
|         /~~~~~|       |
|        /   /~~|       |
|       |   |   +-------+
|        \   \←シリアルケーブル
|         \   \
|          \   \  +-------------------------+
|         ↑\  ~~| ←UPSからの信号         |
| 電源ケーブル~~~~|   を監視  	    	    |
|                 |     [監視デーモン]      |  停電! → 一定時間後
|                 |                         |		シャットダウン開始
|                 |                         |  復電  → 平常運転へ
|                 |                         |  
|                 |     PC本体      	    |
|                 |                         |
|                 +-------------------------+
+-------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------

■
■FreeBSD/Linuxから利用するUPS
■

個人で買える価格帯のラインインタラクティブ方式のもののうち、UPS監視管理ソ
フトがFreeBSDとLinuxで利用できるという条件に該当するものを探すと表1に示し
たものが候補に上がる。

それらのうち今回は オムロン製 BN75XS と APC製 Smart-UPS 700 を取り上げ、
UPS監視管理ソフトを設定する例を示す。

---[表 1]-------------------------------------------------------------

GS YUASA BM700GNX
http://www.gs-yuasa.com/gype/jp/products/standard_ups/gnx/gnx.html

APC Smart-UPS 700
http://www.apc.co.jp/products/ups/su700j.html

OMRON BN75XS
http://www.omron.co.jp/ped-j/product/ups/bn50-75xs/bn50-75xs.htm


三菱電機 FW-A10L-0.7K
http://www.mitsubishielectric.co.jp/frequps/products/series_a/tbl.html
----------------------------------------------------------------------

---[表 2]-------------------------------------------------------------
	  GS YUASA	APC		OMRON		三菱電機
	  BM700GNX	Smart-UPS700	BN75XS		FW-A10L-0.7K
出力容量  700VA/460W	700VA/450W	750VA/500W	0.7kVA/490W
運転方式		      ラインインタラクティブ
出力コンセント 4個		4個		4個		4個
切替時間   4ms(代表値)	2〜4ms		10ms以内	4ms以内
W×D×H(mm) 145x370x160	158x358x137	140x368x172(±1) 140x360x160
冷却方式    自然風冷	自然風冷	強制空冷	 自然風冷
騒音	    約40dB	41dB以下	50dB以下	45dB以下
FreeBSD対応  ※1	※2		※3		※4


※1 http://www.gsee.co.jp/seihin/software/pv_gnx.html
※2 http://www.sibbald.com/apcupsd/
※3 http://www.jp.freebsd.org/QandA/HTML/318.html
※4 http://www.mitsubishielectric.co.jp/frequps/down/down2.html
----------------------------------------------------------------------



■
■導入例
■

実際に、利用しているマシンの電源ケーブルををUPSに繋ぎ自動シャットダウン
のための設定をする作業例を示そう。利用するUPSの種類に関らず、設定作業は
以下のような流れで行なう【図 に】。

	1. あらかじめUPSをコンセントに繋ぎ満充電状態にしておく(1日程度)。
	2. 本体の電源は商用コンセントのまま、停電信号伝達用のシリアル
	   ケーブル(ほとんどの場合UPSに付属)でUPSとコンピュータを繋ぐ。
	3. UPS監視管理ソフトをインストールし起動する。
	4. UPSへ電源供給しているコンセントを抜き、停電信号が行くかを確認
	   する【註 は】。
	5. 4のままUPSの電源供給コンセントをふたたび差し入れ、復電信号が
	   行くかを確認する【註 は】。
	6. 再度UPSの電源供給コンセントを抜きそのまま一定時間経過させ、
	   自動シャットダウンが行なわれるか確認する。
	7. 4〜6に問題がなければコンピュータ本体の電源ケーブルをUPSの出力
	   コンセントに繋ぎ換えたのちに起動し、そのまま平常運転とする。

---[註 は]------------------------------------------------------------
多くの場合、UPS監視デーモンは停電/復電信号をsyslog経由で出力するので、
/var/log/messages などを tail -f しておくと確認できるだろう。
----------------------------------------------------------------------

---[図 に]------------------------------------------------------------

+-- 手順 2,3,5 ---------------------------------
|  コンセント
| +-----+
| | ::  |
| | \\  |          UPS
| +--\\-+       +-------+
|     \~~~~~~~~~|       |
|      \     /~~|       |
|       \   |   +-------+
|        \   \←シリアルケーブル
|         \   \
|          \   \  +-----------------+
|           \  ~~|                 |
| 	      ~~~~|     PC本体      |← UPS監視管理ソフトの
|	          |		    |	インストールと確認
|	          |		    |
|	          |		    |
|		  +-----------------+
+-------------------------------------------------
+-- 手順 4,6 ---------------------------------
|  コンセント
| +-----+
| | ::  |  UPSへの供給電源を抜く
| | \:  |          UPS
| +--\--+       +-------+
|     \   =]~~~~|       |
|      \     /~~|       |
|       \   |   +-------+
|        \   \←シリアルケーブル
|         \   \
|          \   \  +-----------------+
|         ↑\  ~~|                 |
| 電源ケーブル~~~~|     PC本体      |← tail -f /var/log/messages
|	          |		    |	で確認
|	          |		    |
|	          |		    |
|		  +-----------------+
+-------------------------------------------------
+-- 手順 7 ---------------------------------
|  コンセント
| +-----+
| | ::  |
| | :\  |          UPS
| +---\-+       +-------+
|      ~~~~~~~~~|       |
|         /~~~~~|       |
|        /   /~~|       |
|       |   |   +-------+
|        \   \←シリアルケーブル
|         \   \
|          \   \  +-----------------+
|         ↑\  ~~|                 |
| 電源ケーブル~~~~|     PC本体      |
|	          |		    |
|	          |		    | ←平常運転へ
|	          |		    |
|		  +-----------------+
+-------------------------------------------------

----------------------------------------------------------------------


●APC Smart-UPS 700

・ソフトウェアのインストール

製品にも監視管理ソフトが付属しているが、数多くのシステムに対応している
GPL配付のソフトウェア「APC UPS Daemon - apcupsd」を利用した設定を紹介す
る。

http://www.sibbald.com/apcupsd/

より最新版のソースを入手する。執筆時の最新版はapcupsd-3.10.17aなので、こ
れをコンパイルしインストールする。手順はFreeBSD/Linux共通である。

	# gtar zxpf apcupsd-3.10.17a.tar.gz
	# cd apcupsd-3.10.17a

configure を起動する。インストール先ディレクトリや、設定ファイルの置き場
所を変えたいときは【表 ほ】に示す configure オプションで指定する。ただ
し、--bindir, --sbindir, --sysconfdir, --with-cgi-bin のデフォルト値
が--prefix で指定したディレクトリを踏襲しないので、それら全てを変更したい
場合は個別に全てのオプションを指定する必要がある。ここでは、CGI利用を有効
化して、CGIファイル群を /var/www/cgi-bin/apc に置くよう設定する例を示す。

	# ./configure --enable-cgi --with-cgi-bin=/var/www/cgi-bin/apc
	# make && make install

以下の説明では、Apache自体の導入は済んでいるものと仮定する。

---[表 ほ]------------------------------------------------------------
apcupsdの主な configure オプション [ ]内はデフォルト値

  --prefix		インストールプレフィクス。
  --bindir=DIR		ユーザ実行ファイルの位置(該当なし)
  --sbindir=DIR		システム実行ファイルの位置 [/sbin]
  --sysconfdir=DIR	マシン固有の設定ファイルの位置 [/etc/apcupsd]
  --mandir=DIR		マニュアルの位置 [$PREFIX/man]

  --with-nologin=DIR	  nologinファイルの位置 [OSに依存]
  --with-pid-dir=DIR	  PIDファイルの位置 [OSに依存]
  --with-log-dir=DIR	  ログファイルの位置 [OSに依存]
  --with-lock-dir=DIR	  ロックファイルの位置 [OSに依存]
  --with-pwrfail-dir=DIR  停電ファイルの位置 [OSに依存]
  --with-cgi-bin=DIR      CGIファイルの位置 [/etc/apcupsd]
  --with-serial-dev=DEV	  シリアルデバイス [OSに依存]
  --with-nis-port=PORT	  NISポート [3551]
  --with-upstype=TYPE	  UPSの種別 backups, sharebasic, netups,
  			  	backupspro, smartvsups, newbackupspro,
				backupspropnp, smartups, matrixups,
				sharesmart のいずれか [smartups]
  --with-upscable=CABLE	  UPSケーブルの種別 simple, smart の
  			    いずれか [smart]
----------------------------------------------------------------------

インストールされたファイルのうち、自動シャットダウンに関する主な役割を果
たすのは以下のものである。

----------------------------------------------------------------------------
役割			FreeBSDでの位置			Linuxでの位置
監視デーモン		/sbin/apcupsd			←
apcupsdの設定ファイル	/etc/apcupsd/apcupsd.conf	←
デーモン起動スクリプト	/etc/rc.apcupsd			/etc/init.d/apcupsd
----------------------------------------------------------------------------

・設定ファイルの確認

デフォルトで /etc/apcupsd に apcupsd.conf がインストールされる。停電発生
時にどのような挙動をさせるかを定義するのがこのファイルである。コメントが
豊富に入っているので、ファイルの内容を見れば何を設定すべきか分かるだろう。
ここでは、運用に当たって確認すべきパラメータを示す。


	* UPSNAME
	  UPSにつける8文字以内の名前。複数のUPSを設置している場合は分か
	  りやすい識別名をつけておいた方が良い。

	* UPSCABLE
	  UPSケーブルの種別。configureオプションの --with-upscable と同様。

	* UPSTYPE
	  UPSの種別。configureオプションの --with-upstype と同様。

	* DEVICE
	  UPSと接続されているシリアルデバイス。デフォルトで第1シリアルデ
	  バイス(COM1)のものになっているが、それ以外に接続している場合は
	  書き換える。

	* ONBATTERYDELAY
	  停電発生から何秒後にイベント発生するか。デフォルトは6(秒)で
	  それより短い停電では何のリアクションも取らずにやり過ごす。

以下の BATTERYLEVEL, MINUTES, TIMEOUT の3パラメータは自動シャットダウン
開始のタイミングを決める。3値のうち最も早く訪れるもので決まる。

	* BATTERYLEVEL
	  UPSが報告する蓄電池残量がこの値以下になったらシャットダウ
	  ンを開始する。

	* MINUTES
	  UPS自身の予測による通電可能時間がこの値(分)以下になったらシャッ
	  トダウンを開始する。

	* TIMEOUT
	  Smart-UPS使用時には大抵の場合0に設定する。残量報告のできない
	  UPS では停電後一定時間を経過したときにシャットダウンを開始する
	  必要がある。この値にはその秒数を指定する。0を指定すると無効化す
	  る。UPSの導入試験を行なうときには、「TIMEOUT 30」などと短い値を
	  指定するとすぐに確認が完了するので便利だろう。

・apcupsdの起動

【FreeBSDの場合】

/etc/rc.apcupsd が apcupsd 起動・停止のためのスクリプトである。デフォル
トでは、/etc/rc.local に /etc/rc.apcupsd を呼ぶための記述がコメントアウ
トされた形で書き出されているので、コメントを外しそれを有効化するか、
rc.apcupsd 自体を /usr/local/etc/rc.d 等にコピーすれば次回リブート後より
自動的に apcupsd が起動する。

【Linuxの場合】

/etc/init.d/apcupsd が起動のための本体スクリプトで、このファイルへのシン
ボリックリンクが /etc/rc*.d/ 内に作成される。Linuxの場合はとくに追加の設
定をせずにリブート後よりapcupsdが起動する。


・CGIによるUPS状態確認

Apacheを既に起動しているのであれば、httpd.conf に以下の記述をサイトの事
情に合わせて変更した上で追加する【註 り】。

---[リスト ぬ]--------------------------------------------------------
ScriptAlias /apc/ "/var/www/cgi-bin/apc/"

    AllowOverride None
    Options None
    Order deny,allow
    Deny from all
    Allow from 127.0.0.1 10.1.1.   ← CGI参照を許可するネットワーク

----------------------------------------------------------------------

---[註 り]------------------------------------------------------------
既存の cgi-bin ディレクトリがあれば、そのディレクトリ以下にするのが
良いだろう。configure 時の --with-cgi-bin オプションもそれに合わせる。
----------------------------------------------------------------------

Apacheを再起動し、【リスト ぬ】で登録したCGIのパス名をブラウザでアクセス
してみる。ブラウザを起動するサーバが同一ホストなら、

http://localhost/apc/multimon.cgi

を開くと、【図 る(A)】のメニューが現れる。一番左のシステム名のところをク
リックすると【図 る(B)】のような統計情報がグラフとともに現れる。これによ
り、現在の通電状況だけでなくUPSの充電率や電圧などの詳細情報を得ることが
できる。


---[図 る]------------------------------------------------------------
(A) %image apc-multimon.png
(B) %image apc-stats.png
----------------------------------------------------------------------




●オムロン - BN75XS

・ソフトウェアのインストール

BN75XSには付属しているCD-ROMにはLinux用も含まれているのでそれを利用する。
Web上の情報を検索するとFreeBSDから利用できるプログラムが見つかるが、残念
ながら時間切れで筆者の手元での動作確認が取れなかったため、Linuxの場合のみ
示す。今回は PowerAct Pro 2.0 を導入してみた。
http://www.omron.co.jp/ped-j/product/soft/poweract/
ただし、今回は公式には未対応の Fedora Core 3 への導入なので
あくまでも参考情報としてとらえて欲しい。


製品付属のCD-ROMに
PowerAct_Pro/Linux/Program/<システム名>/<アーキテクチャ>/

というディレクトリがあるので利用しているシステムに近いディレクトリに移動
し、PowerAct Pro のrpmファイルをインストールする。

# rpm -i PowerActPro-Master-2.0-20050520.i386.rpm

/usr/lib/PowerActPro/ に関連ファイルがインストールされる。
このときにUPSの管理パスワードが聞かれる。

----------------------------------------------------------------------
*****************************************************************************
        Access right setting of PowerAct Pro
*****************************************************************************
        Please register the password of User ID [Admin].
        Don't forget the password.

        Password:*******
        Reconfirm Password:*******
----------------------------------------------------------------------

これは、UPSのモニタリングをするときに聞かれるので、忘れないようにしてお
く。

続いて

   PowerAct Pro Master Agent program has been installed completely.
   Please run below command and setup the shutdown parameters of master
   agent to meet your system.

        Command:  /usr/lib/PowerActPro/MasterAgent/config.sh

とメッセージが出されるので、config.sh を起動しシャットダウンパラメータを
対話的に入力する。config.shでの設定完了と同時に監視デーモンも起動する。


サーバ上でApacheを起動した後に、

	http://localhost/PowerAct_Pro/

にブラウザでアクセスすると【図 を(A)】のようなウィンドウが現れる。

---[図 を]-------------------------------------------------------------
 (A) %image PAPnetsearch.png
 (B) %image PAPmonitor.png
----------------------------------------------------------------------

UPSの接続されたホスト名が出ているので、それをクリックするとUPSの管理アカ
ウントとパスワードが聞かれる。ユーザ名に Admin、パスワードはインストール
時に設定したものを入力する。認証に成功すれば【図 を(B)】のようなモニタリ
ングウィンドウが現れる。

通電情報や電圧・バッテリ容量などの表示のほか、パラメータの設定を行なうメ
ニューなどが用意されているので、この画面でUPSの設定を全て行なうことがで
きる。

その他 PowerAct Pro の概要についてはオムロン社のWeb
http://www.omron.co.jp/ped-j/product/soft/poweract/
に図解があるので参照して欲しい。

■
■万が一に備え万全の体制を
■

今回紹介したのは、中堅的位置付けのラインインタラクティブ方式の700VA前後の
UPSだが、より大きな容量のUPSでは複数のコンピュータを同時に接続する余裕が
ある。そのような場合には、シリアルケーブルでUPSに直接接続したコンピュータ
を「マスター」、それ以外のものを「スレーブ」として自動シャットダウンソフ
トを連係させて動かすことにも対応した管理ソフトもある。大型のUPSを導入する
際には考えて行く必要があるだろう。


廉価版のUPSを使う場合でも、機種によってはサージフィルタなどがつくものが
あるので、雷などによる被害を未然に防ぐことができる。もしもの時に失うデー
タのことを考えると十分に見合う金額で導入できるのではないだろうか。これま
でUPSを考えていなかった人も、ぜひ検討してみることを勧めたい。

■
■参照URL
■

1. http://www.apc.co.jp/visitors/trouble.html
2. http://www.sanken-ele.co.jp/prod/powersp/ups/what_ups/ups_w11.htm
3. http://www.mitsubishielectric.co.jp/frequps/wups/wups04.html
4. http://www.gs-yuasa.com/gype/jp/products/other/upsguide/upsguide.html
5. http://www.keyman.or.jp/search/30000392_2.html

■
■製品貸与協力
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今回の執筆に当たって、オムロン株式会社より BN75XS をご貸与頂いた。

http://www.omron.co.jp/ped-j/product/ups/index.htm
オムロン株式会社   周辺機器事業部  営業課
TEL:03-3436-7227   FAX:03-3436-7224


yuuji@gentei.org
Fingerprint16 = FF F9 FF CC E0 FE 5C F7 19 97 28 24 EC 5D 39 BA
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